6月に入り、いよいよ梅雨の到来です。
湿度が気になるこの季節は、一年の中でも特に髪の毛の収まりが悪くなる時期であり、とりわけくせ毛の方にとっては非常に悩ましい季節です。
そこで、今回はこの時期特に関心が高まる「トリートメント」について。
そもそも「トリートメント」とは何か?
雑誌やSNSでよく見かける「髪質改善」とは?
といった疑問に、私が考える「トリートメント」の定義について、解説してみたいと思います。
まず、よく一般的に美容メーカーや雑誌などが定義する「リンス」と「コンディショナー」と「トリートメント」の違いについて。
「リンス」と「コンディショナー」は髪の毛の外部のみを補修し、「トリートメント」は髪の毛の内部と外部を補修するものと解説するケースが殆どで「リンス」&「コンディショナー」<「トリートメント」という図式で説明しますが、これだとやや不十分です。
恐らく、当初からヘアケア市場に投入されていた「リンス」や「コンディショナー」と、後発で出てきた「トリートメント」を区別するために既述のような定義を用いたと思われますが、「トリートメント」という意味を英語の「treat」から解釈すると、「取り扱う」「待遇する」「処置をする」という風に理解した方が正確だと思います。
つまり、カットをして髪の毛のまとまり良くなる処置をすること、ストレート液(還元剤)を用いてくせ毛をストレートにすること等も「トリートメント」という理解となります。
ですので、私達が普段サロンでご提案しているトリートメントメニューは、
よくある〇〇という美容メーカーの〇〇というブランドのトリートメント商品を1番から3番まで順番につけていく、といったマニュアル的なものではなく、
それぞれ異なるお客さまの髪の毛の履歴、元々の髪質の悩み、そして今後どのような髪の毛にしていきたいのか、などを加味した上でご提案するオーダーメイド型のトリートメントメニューです。
実際に、場合によっては髪の毛に負担を与える還元剤を敢えて用い、
髪の毛をやや膨らませて補修成分を毛髪内部に浸透させ、クセも落ち着かせてストレートヘアに仕上げるといったこともトリートメントメニューとして提案しています。
要するに、髪の毛に良いものだけを注入していくことが「トリートメント」ではないのです。
では、今大変流行している「髪質改善」とは、どのようなメニューでしょうか?
字面から理解すると癖やダメージでとんでもなく扱い難い髪の毛も、インスタグラムなどでよく見かけるような艶々なストレートヘアに変えてしまう「トリートメント」のように思われがちですが、実際は違います。
写真や動画で表現するSNSの功罪とも言えると思いますが、「髪質改善」にもきちんとした定義はなく、各サロンがそれぞれ自信のあるトリートメントメニューや縮毛矯正を「髪質改善」と謳い提案しているケースが大半で、非常に誤解を生みやすい表現であると、私自身は感じています。
特に、グリオキシル酸などを用いた所謂「酸熱トリートメント」を使った髪質改善メニューには、注意が必要です。
使い方によっては大変有効な施術ではありますが、この施術はあくまでも「禁じ手」です。
ヘアケアの正当な手段では改善が見込まれないケースなどに用いる施術であって、どのような方にも常用するようなものではないのです。
この辺りは、しっかりと認識しておかないと、SNSで見つけたサロンで髪質改善メニューを受けて、髪の毛がボロボロに、、、といったこともあり得ます。
となると、やはりサロンで施術した直後のような仕上がりを自宅で再現することは不可能なのでしょうか?
SNSで見かける艶々なストレートヘアも、色鮮やかに発色しているヘアカラーも、その場その時だけを楽しむものとして諦めるしかないのでしょうか?
改善の糸口は、サロン施術後のホームケアにあるのではないかと私は考えています。
普段お風呂場でご使用いただくトリートメントの工程や内容に、サロンで施術する際に受けているような要素を取り入れていただく。
当然、サロン施術の中には薬にも毒にもなるような面がありますが、そのような商品をご家庭でも使用していただくと同時に、髪質の状態を悪化させるミスが起こらないようにデジタル技術を用いて専門知識のある私たち美容師がしっかりと管理していく。
このようなことを構想して、新たな商品を弊社のヘアケアブランド「u」シリーズの新展開として今年の秋ぐらいに発売する予定です。
従来のトリートメントという定義を再構築し、世の中の美容習慣を根本から変えていくー。
と言っては大袈裟かもしれませんが、私は今、そのようなことを考えています。
u by KIND MANAGER 山本 健太